奇跡の運転免許証

深谷太陽農園に入社して4年が経った従業員が運転免許を取得しました。

彼は知的障害、精神障害、ADHDなどの障害を抱えております。

まぁ、奇跡だなと思っています(笑)

 

彼は特別支援学校を卒業後、B型支援施設を渡り歩き、

各所で問題を起こし、福祉支援者から非常に問題視されている子でした。

太陽農園ではどんな人でも、職場体験、就業訓練を受け入れていることから、

彼は縁あって、うちの職場体験に参加をしてきました。27歳の時です。

いろいろな問題を起こしている過去は情報として聞いておりましたが、

そういったことはいったんなしにして、フラットに今の彼を見てみると、

誰よりも一生懸命働く青年でありました。

 

そんな彼を採用し、今日までの4年間。

彼は様々な問題を起こしてきました。

本当に数え切れないくらいの問題(=社会のルールを破る)を起こして、

その度に、私と人事部長の田中にこっぴどく説教されてきました。

同じ問題を何度も何度も起こして、その度、何度も何度も説教をしてきました。

障害があるから仕方ない、と何度も思いましたが、

ただ、「障害があるから仕方ない。」

は優しい言葉のようでありながら、実は残酷なことであることがあります。

「言われるうちがうちが華」と言われるように、

間違ったことがあったら、説教をし、反省、改善を促さなければいけません。

障がい者と一括りにしても、

生活保護を受けながら生活をするほどの重度な障害の方もいれば、

彼のように障害=ハンディはあるけれど、一生懸命頑張れば、一般社会の中で生きていける可能性がある人もいます。

彼は福祉支援者からしたら、一般社会では生きていくことはできない(=福祉施設)

という判断であり、周りからは見放されておりました。

しかし、私は、彼が誰よりも一生懸命働く姿を目の前で見ており、

何度怒られても、何度もなんとかしなきゃという反省する姿を見ており、

そしてなにより彼自身に「障がい者だけど、社会の中で健常者のように一生懸命生きたい」という強い意志があり、

だったら、私もあきらめずに説教=社会で生きる上で、守っていかなければいけないルールを教えてきました。

そして、七転八倒の4年間を経て、

 

自分の思い通りにならないと、発狂してぶっ倒れて、自分で救急車を呼んでいた彼が、

誰よりも仲間のために、誰よりも我慢をし、率先して人が嫌がる仕事もするような従業員になりました。

もちろんぶっ倒れることは一切なくなりました。

 

何か自分に不都合なことがあったり、仕事のミスをすると、すぐに嘘をつき、誤魔化そうとする彼が、

ちゃんと謝る、ということができるようになりました。

  

自分の主張、我を通し、頻繁に他の従業員と喧嘩をし、時には手も挙げていた彼が、

相手の意見を受け入れたり、自分の意見と相手の意見の中庸点を探したり、ぐっと我慢をし、自分本位ではなく、チームで仕事するために、どうしたらよいか考え、仲間のために行動をすることができるようになりました。

 

ヒョロヒョロだった肉体は、

30kg以上のねぎの束を持ち上げ、畑から軽トラに運べるほどの立派な肉体になりました。

すぐ泣いちゃう彼が、

泣かずにグッと我慢できるようになりました。

  

そして、この度、運転免許を取得することができました。

もちろん、4年前は、医者からも保護者からも福祉支援者からも誰からも、運転免許取得の許可なんて一切おりませんでした。

しかし、今回は医者の許可、保護者の許可、福祉支援者の許可、すべてを得て、臨みました。

 

彼はきっと、障害を抱える人の希望になる、

それは彼にしかできないことであると思います。

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